【ECについてのアンケート調査#02】狩野モデルを用いてECショップの機能・サービスの評価を調査してみた

リサーチ/レポート

狩野モデルを用いたECについてのアンケート調査

ECショップの機能やサービスはユーザーにどう評価されているのだろう?

第2弾のECについてのアンケート調査では、ECショップに見られるさまざまな機能・サービスに注目。狩野モデルを用いたアンケートで、何がどうユーザーの満足度に影響を与えているのか調査し、ECショップに求められる機能・サービスは何か探りました。

特にセグメントグループを女性に絞って分析し、EC施策でどのように活かせるか考察しました。

レポートは、リサーチチームの風間・原が担当します。

 

▼関連レポート▼

◆ECについてのアンケート ー第1弾ー
急速なECシフトが進行する中、ユーザー行動に変化はあるのか、ないのか?

◆リサーチチームの調査サービス紹介
「狩野モデル」を用いたアンケート調査

 

「狩野モデル」を用いて、ECショップに必要な機能・サービスを検証してみる

ECショップに必要な機能やサービスを調査

優先すべき機能やサービスを探るため、狩野モデルを用いて調査

最近のECショップには多彩な機能やサービスが採用されています。商品の選びやすさや買い物の楽しさを追求し、ユーザーの満足度を向上させるのが目的ですが、どの機能やサービスが最も貢献しているか?と訊かれると…回答に困るのではないでしょうか?

その答えを導き出すのに活用できるのが、狩野モデルを用いたアンケート調査です。今回は、ECショップの機能・サービスについて、すでに定着しているものからまだ目新しいものまで30項目を調べました。具体的には、「充足質問」と「不充足質問」という2つの質問を行い、回答を5つの選択肢の中から選んでもらうという方法で行います。

狩野モデルを用いたアンケートの質問と回答選択肢

充足質問

オートログイン(毎回パスワード入力せずログインできる)ができるとしたらどう思いますか?

● 気に入る
● 当たり前
何とも思わない
● 仕方ない
● 気に入らない

不充足質問

オートログイン(毎回パスワード入力せずログインできる)ができないとしたらどう思いますか?

● 気に入る
● 当たり前
何とも思わない
● 仕方ない
気に入らない

 

アンケートの回答を以下の表をもとに整理すると、そのユーザーが機能やサービスに対して認識している品質が判明します。これを複数名に行い、最も多い回答を得た品質は、そのグループ内での評価としてみることができます。

狩野モデルを用いたアンケート結果の分類図

 

分類された品質の充足/不充足によって、ユーザーの満足度は変わります。ECショップの新規立ち上げや、リニューアルを行う際に実施し、ユーザーの評価を把握できれば、ショップにとって本当に必要な機能・サービスの見極めに役立ちます。

今回調査した機能・サービス項目

機能・サービス項目
オートログイン(毎回パスワード入力せずにログインできる)
ソーシャルログイン(既存のソーシャルメディア等のアカウントを連携してログインできる)
ゲスト購入(会員登録無し購入)
定期購入(一定期間ごとに自動で購入&配送される)
「過去に購入(注文)」した商品の一覧表示
「すでに閲覧」した商品の一覧表示
ポイント(ポイントを貯める&使用できる)
予約販売(在庫切れの際の再入荷通知を受け取ることができる)
ユーザーレビュー(購入者コメント)
新着商品表示やランキング表示
あなたへのおすすめ商品(レコメンド)表示
ズーム画像(写真を大きく出来る)、試着(使用時)画像
動画(商品の特徴や説明)
購入を迷ってページを離れようとしたときアラートが出る(カゴ落ち機能)
スタッフブログ(スタッフによる商品紹介など)
まとめ買い割引(5,000円以上購入で送料無料になる等)
ショップスタッフが答えてくれるリアルチャット(その場で応えてくれる)
AIが答えてくれるチャットボット(人工知能が応えてくれる)
InstagramやFacebookの商品画像から直接オンラインショップの購入ページへの移動
クレジットカード決済
実生活(コンビニなど)で使う電子決済と同じものが使える
:交通系電子マネー(SuicaやICOCAなど)、バーコード決済(PayPayやLINE Payなど)、その他の電子マネー(nanakoやiDなど))
実生活(コンビニなど)ではあまり使うことがない電子決済が使える
:AmazonPay、Yahooウォレット、Paypal、ApplePay、GooglePay等)
コンビニ決済、代引き、銀行振込
後払い(振込用紙同梱による商品到着後のコンビニ支払い、銀行振込み等)
配送日時指定
複数配送先指定(別のお届け先指定ができる)
お近くの店舗またはコンビニ受け取り
返品が出来る
「メルマガ」による新商品・セール・クーポンなどのお知らせ
「LINE通知」による新商品・セール・クーポンなどのお知らせ

上の表は、今回調査した機能・サービスの項目です。これらを選定した時点では、機能・サービスによって明確な品質分類の違いが表れるのでは…と予測していましたが、実際にはそうでもありませんでした。クレジットカード決済については「無いと不満度が増す」とされる「当たり前品質」の評価が顕著に見られましたが、それ以外の機能・サービスについては「無関心品質」がもっとも多い評価でした。ユーザー全体としては、ECの機能・サービスをあまり意識していないという結果だったものの、世代別、性別でクロス集計してみると異なる結果が得られ、いくつか面白い発見もありました。

このように製品やサービスの品質をユーザー視点で可視化できる点が、狩野モデルを用いた調査の興味深いところです。これから開発、改善したいサービス、アプリ、サイトなどにこの調査を取り入れてみたいとお考えの方は、ぜひリサーチチームにご相談ください。

 

アンケート調査に用いた「狩野モデル」について

狩野モデルを用いたアンケート調査では、ユーザーの満足度を左右する製品やサービスの品質を分類して、どれを重視すべきか、優先順位決めに活用できる点が特徴です。品質は以下の5つに分類されます。

当たり前品質(当たり前評価)

満たされていても、ユーザーには「それが当然」と評価される品質要素。
例:スマートフォン … 通話時の音声がはっきり聞き取れる

一元的品質(一元的評価)

満たされるほど満足度が増し、その逆だと不満度が増す品質要素。
例:スマートフォン … 画面が高精細で画像や映像がきれいに見える

魅力的品質(魅力的評価)

満たされるほど満足度は増すものの、満たされなくても不満には感じない品質要素。
例:スマートフォン … 指で触れることなく脳波で操作できる

無関心品質(無関心評価)

満たされていても満たされていなくてもどちらでも構わない、満足でも不満でもないという品質要素。
例:スマートフォン … ホーム画面に並ぶアイコンを好きな画像に変えられる

逆品質(逆評価)

満たされていると不満度が増し、満たされていないと満足度が増す品質要素。
例:スマートフォン … スマホ本体に購入した日付と場所が打刻されている

狩野モデルを用いたアンケート調査の詳細はこちら→

 

女性ユーザーに着目し、アンケート調査の結果を分析してみる

今回は、女性向け商材のECショップならば…と仮定して、セグメントグループを女性に絞り、調査した機能やサービスがどう評価されているか分析してみました。また、ECショップに採用する場合には、どんな点に配慮すれば良いのか考察しました。

 

若年世代の女性では、クレカ以外の電子決済にニーズ移行の気配

ECショップの決済機能

若年女性では、クレカ以外の電子決済に「魅力的品質」の傾向

女性ユーザーのクレジットカード決済に対する評価は、Z世代が「無関心品質」、ミレニアル世代とX世代が「当たり前品質」で、世代によって認識に差があることが分かりました。

クレジットカード以外の電子決済について見てみると、圧倒的多数ではないものの、Z世代やミレニアル世代で「魅力的品質」の傾向が見られました。

電子決済_魅力的品質の割合

若年世代の女性にとって、ECショップでのクレジットカード決済は「当たり前」ではなくなりつつあり、ニーズはそれ以外の決済方法に移ってきていると言えるかも知れません。

Suicaや楽天Edyなどの電子マネー決済、携帯電話代に上乗せされるキャリア決済、Amazon PayやApple Payなどの外部ID決済は検討範囲に含まれるでしょう。

 

女性は世代を問わず、購入時に貯まる&使えるポイントに関心が高い

ECショップのポイントサービス

ミレニアル世代以上では、ポイント制度に評価

ECショップだけでなくスーパーやドラッグストアなど身近な店舗でもよくあるポイント制度。女性の場合、Z世代が「魅力的品質」、ミレニアル世代とX世代が「一元的品質」という結果になり、ポイントがあるECショップの方が評価が高いということが分かりました。

ポイントサービスの品質分類

Z世代女性の場合は魅力的品質なので、例えポイント制度がなくても評価にそれほど影響しませんが、あるに越したことはなく、性をターゲットにするECショップではポイント制度を導入すべきだと言えそうです。

 

女性はセールやクーポンのお知らせに好意的。ツールは世代で好みが分かれる。

ECショップのお知らせサービス

女性にとって、セールやクーポンのお知らせは「あるとうれしい」

ショップから届くセールやクーポンなどのお知らせに関しては、積極的にした方がいい、あまりし過ぎると逆効果…などと意見が分かれがちですが、女性はすべての世代で「無関心品質」に次いで「魅力的品質」が多いという結果でした。

魅力的品質は、なくても不満はなく、あるとうれしいという評価なので、女性をターゲットにするECショップでは取り入れるべき施策と言えそうです。

 

Z世代にはLINE、X世代にはメルマガで

お知らせの際に使われるツールに関してはZ世代ではLINEが好まれ、X世代ではメルマガが好まれる傾向にありました。それぞれの世代によって、慣れ親しんでいるツールが異なっていると考えられます。セールやクーポンのお知らせをする場合は、送る相手と一緒に使うツールもよく考え、使い分ける必要があると言えるでしょう。

LINEでのお知らせ_魅力的品質の割合

 

メルマガによるお知らせ_魅力的品質の割合

以上が、今回のアンケート調査のレポート#2です。定量・定性のリサーチを行うと、ユーザーのインサイトに近づくことができ、取るべき施策が明確になります。TAMリサーチチームは、そのお手伝いができればと思っていますので、お気軽にご相談ください。

なおこの調査と並行して、急速なECシフトが進行する中でのユーザー行動の変化についても調査しました。その結果もレポート#1にまとめましたので、合わせてご覧ください。

 

▼関連レポート▼

◆ECについてのアンケート ー第1弾ー
急速なECシフトが進行する中、ユーザー行動に変化はあるのか、ないのか?

◆リサーチチームの調査サービス紹介
「狩野モデル」を用いたアンケート調査

 

▼アンケート調査概要▼

調査目的 ECショップに見られる機能・サービスに対するユーザーの評価を調べるため、狩野モデルを用いたアンケート調査を実施。何がどうユーザーの満足度に影響を与えているのか分析し、ECショップに求められる機能・サービスは何なのかを探る。
調査期間 2021年3月15日~2021年3月25日
調査方法 オンラインアンケート
調査対象 18~54歳の男性、女性
回答者数 900人(男性:450人、女性:450人)
回答者属性 24歳以下(Z世代)男性:150人、女性:150人
25~39歳(ミレニアル世代)男性:150人、女性:150人
40歳以上(X世代)男性:150人、女性:150人

 


 

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