たかがインタビュー、されどインタビュー。 やってしまいがちな「失敗」とその原因。
リサーチの手法のひとつであるインタビュー。そんなの誰でもできるでしょ?と軽視されがちですが「たかがインタビュー」で臨むと、質の高いリサーチはできません。
この記事では、インタビューがリサーチとして機能せず、ただの会話で終わってしまう「失敗」の例をご紹介。
「自分のインタビューのやり方は正しいのかな?」「インタビューはしたけど、その先でつまづいている…」「アウトプットはこれでいいのかな?」という方にぜひ読んでいただきたい内容になっています!
私(ムギシマ)の失敗を例に挙げてご説明します。
みなさん、こんにちは。私は(株)TAMのリサーチチームに所属するムギシマと言います。リサーチを学びはじめて1年あまり。まだ駆け出しなので、今回のテーマの「インタビュー」についても、先輩にあれこれ訊きながら勉強している最中です。
当然、失敗もたくさんありまして…。今回は、その失敗をさらけ出しつつ、何がダメだったのか、失敗の原因は何だったのか振り返ってみたいと思います。次の段落からは、私の頼れる先輩、サトウさんにも登場してもらってご説明します。
【目次】ムギシマの失敗例
01/相手への質問を思いつく限りたくさん準備する
⇒ インタビューは、質問を多くすればいいという訳ではない。
02/質問の深掘りを相手の反応や回答に合わせて行う
⇒ 手当たり次第に深掘りしても、リサーチの質は上らない。
03/インタビューの内容を詳細な会話録にまとめる
⇒ 会話をただまとめただけでは、有益なリサーチと言えない。
質問をたくさんするほど良いインタビューになる、とは限らない。
ムギ
私の場合、インタビューをしても、その成果が得られた実感があまりないんです。
どんな展開になっても大丈夫なように、事前に思いつく限りの質問を準備してるから、会話自体は盛り上がるんですけど、たくさん聞いたわりに中身が薄いと言うか…。
これって、なぜなんでしょう?
サト
その状況は、何を作るのか料理を決めず、やみくもに食材集めをしているのと同じね。
目の前にある食材を次々カゴに入れたはいいものの、紅ショウガとバニラビーンズとドライトマトと柚子胡椒だった。
この食材で何が作れるの!?ってことでしょう?
ムギ
はい…。もし作れたとしても、とんでもない創作料理かと…。
そうか、数さえあればあとは何とかなる…という考えが間違いだったんですね。
インタビューも、とにかく深掘りしてたくさんの情報を聞き出すことばかりに気が行って、何のために必要なのか、目的の部分がノープランでした。
サト
インタビューをする際いちばん最初に必要なことは、何のためのリサーチなのか、目的をはっきり決めること。
インタビューすること自体が目的になるのは避けないとね。
ムギ
なるほど。複数人でインタビューをする場合もあるので、プロジェクトメンバーの中で目的を共有しておくことも大事ですね。
インタビューが価値のあるリサーチになり得るかどうかは、
・質問からどんな情報を得たいのか?
・得た情報をどう活かしたいのか?
リサーチの「目的」が明確になっているか否かが重要
相手に合わせた質問でインタビューの質が高まる、訳ではない。
ムギ
インタビューは、その人の感情や理由にまで迫れるのがメリットですよね。
でも私の場合、複数人にインタビューをすると、各々の感情は知れるんですが、あとから共通点や相違点を探ろうとすると、何かしら情報が不足していて比較分析できない!となりがちで…。どこか中途半端なんです。
サト
なるほど。それはさっき例に挙げた料理と食材の話とも関係するね。
ムギちゃんは、何を作るのか料理は決めたのに、作るたびに成り行きでアレンジを加えてしまっているんだと思うよ。だから、できた料理の完成度がバラバラになる。
ムギ
調理工程が違うとか、食材の分量が違うとか、レシピから逸れているということですね?
確かに、インタビュー相手によって聞き方が違ったり、質問の掘り下げ方が違ったりしてるかも…。それだと得られる情報にバラつきが出るのも当然ですね。
サト
聞き方次第で誘導尋問っぽくなったり、バイアスがかかることにも気をつけないとね。
それと、インタビューは一人の発言にも思いがけない発見があるから質問の深掘りはすごく大事なんだけど、その向きが重要。
周辺情報ばかり横向きに掘り進めても、本当に得たい情報には辿り着かないからね。
ムギ
ということは、質問が本題から逸れないように内容と手順をあらかじめ整理しておくと良いんですかね?ちょっとしたカンペみたいに。
そうすれば、最低限聞かなきゃいけない情報の抜け漏れも防げて、比較分析の時にも困りませんね!
サト
そうだね。その整理の時に、リサーチの目的をよく意識して、目的達成のためにはこんな情報が必要だから、この順番でこの内容を聞こう…と考えると上手くいくよ。
インタビューが価値のあるリサーチになり得るかどうかは、
・得たい情報につながる質問:どの相手にも不足なく
・さらに深く掘り下げる質問:得たい情報と同じ向きに
あとで比較や分析を行うことを意識して質問することが重要
インタビューの会話録の作成がもっとも注力すべき作業、ではない。
ムギ
インタビューが済んだら、調査の成果物としてレポートを作成すると思うんですが。
どんなふうにまとめればいいのか、いつも迷ってしまうんです。
サトウさんはどうされているんですか?
サト
形式にこだわる必要はなくて、ケースバイケースでいいと思うよ。
ただし、忘れてはならないのが、そのレポートを何にどう活かしたいのかという点。
やっぱりここでもリサーチの「目的」を意識するのが大事。
ムギ
あぁ…。私いままで、発言録の作成にばかり注力してました。
でも、その中から目的達成のために有益な情報を抽出することが大事ってことですね。
サト
もちろん発言録は、発言の背景を知るために不可欠で、共有資料としても必要だよ。
でもそれ以上に、インタビュー内容を振り返って、プロジェクトメンバーと一緒に感想や意見を出し合うことが大事。
そこで得られた情報を整理、分析していく中で、新たな気づきや学びが出てくるから。
ムギ
なるほど~。その気づきや学びがあれば、次にどうしていくべきか、具体的な活用の道筋が見えてきそうですね!
インタビューがただの会話で終わるか、有益なリサーチになるかの分かれ道とも言えそう。
インタビューが価値のあるリサーチになり得るかどうかは、
リサーチの目的に沿って
・インタビュー内容を振り返り、
・出てきた情報を整理、分析して、
次のアクションにつながる気づきや学びを得ることが重要
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