調査サービス紹介#01 「狩野モデル」を用いたアンケート調査

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調査サービス_狩野モデルを用いた調査

TAM広告/リサーチチームの調査サービス紹介

TAM広告/リサーチチームでは、アンケートやインタビューといった調査サービスをご提供しています。私たちは、ただ単にデータの収集、分析をするのではなく、仮説をもとに設問設計を行い、デジタルマーケティングの「売れる仕組み」をクライアントと一緒に考えます。

ここでは、チームで行っているリサーチ手法の中でも「狩野モデル」を用いたアンケート調査についてご紹介します。興味・関心を持たれた方は、TAM広告/リサーチチームまでお気軽にお問い合わせください。

 

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マーケティング分野で活用される「狩野モデル」とは?

狩野モデルとは

狩野モデルは、ユーザーの満足度と品質の関係を知るための枠組み

狩野モデルとは、東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が1980年代に提唱したもので、海外でも「Kano Model」として広く知られています。

狩野モデルでは、ユーザーの満足度に影響する製品やサービスの品質を「品質要素」とし、アンケート調査で得られたデータをもとに5種類に分類。それぞれの品質要素の充足度とユーザーの満足度の関係に応じて、何を重視すべきかという優先順位付けに活用できます。

製品やサービスの品質をユーザー視点で可視化できるため、製品企画やサービスの設計開発といったマーケティング分野でもよく用いられます。

 

品質要素の分類と、ユーザー満足度に与える影響

狩野モデルでは、ユーザーが認識している品質を「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」「無関心品質」「逆品質」という要素に分類するのですが、ユーザーの満足度向上を図る際は「「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」が重要になります。

この3つの要素について、それぞれの充足度とユーザーの満足度がどのような関係にあるのかをマトリクス図にすると以下のようになります。

狩野モデル_マトリックス図

それぞれの品質要素には、以下のような特徴があります。イメージしやすいように、スマートフォンと温泉旅館の場合を例に挙げて説明します。

 

当たり前品質(当たり前評価)

満たされていても、ユーザーには「それが当然」と評価される品質要素です。製品やサービスの基本機能や安全性能などがこれにあたります。感情としては「それがないなんて意味が分からない!あり得ないんじゃない?」といったところです。当たり前であるがゆえに、満たされない場合は不満と言うより、苦情・クレームにつながりがるため、決して軽視できません。

参考例

●スマートフォン … 通話時の音声がはっきり聞き取れる
●温泉旅館 … 湯上りの身体を拭くバスタオルが提供される

 

一元的品質(一元的評価)

満たされるほど満足度が増し、その逆だと不満度が増す品質要素です。感情で言うと「それがないと腹立たしい。あるとすごくうれしい!」という感じです。追求するほどユーザーの評価は高まり、他の競合製品・サービスに比べて突出して優位になれば、魅力的品質と同等の差別化要因になり得ます。ですが追求の度が過ぎると(特に技術的なスペックは)ユーザーに理解されない場合もあります。

参考例

●スマートフォン … 画面が高精細で画像や映像がきれいに見える
●温泉旅館 … 適切な時間においしい食事が提供される

 

魅力的品質(魅力的評価)

満たされるほど満足度は増すものの、満たされなくても不満には感じない品質要素です。感情としては「それがあるのって、かなりスゴイ!まぁ、なくても別に困らないけど」くらいの感じです。他の競合製品・サービスとは一線を画すような、斬新な差別化要素はこれにあたります。しかし、時間の経過によって魅力的品質から当たり前品質に変わる場合があります。

参考例

●スマートフォン … 指で触れることなく脳波で操作できる
●温泉旅館 … 自分の骨格や好みに合った枕が提供される

 

上記3つの他に、調査方法の性質上生じる「無関心品質」「逆品質」という品質要素もあるため、ここで合わせて説明します。なお狩野モデルでは、基本的にユーザー個人の価値観による評価のため、Aさんにとっては魅力的品質であっても、Bさんにとっては無関心品質という場合があり得ます。

 

無関心品質(無関心評価)

満たされていても満たされていなくてもどちらでも構わない、満足でも不満でもないという品質要素です。感情で表現すると「う~ん、どうでもいいかな。それ、あんまり興味ないし」という感じになるでしょう。この品質要素にコストをかけて追求してもユーザーからは評価されないので、提供する側はあまり深追いしない方がベターです。

参考例

●スマートフォン … ホーム画面に並ぶアイコンを好きな画像に変えられる
●温泉旅館 … 客室のテレビでディスカバリーチャンネルが見られる

 

逆品質(逆評価)

満たされていると不満度が増し、満たされていないと満足度が増す品質要素です。品質の充足度とユーザーの満足度が反比例する点がややこしいのですが、「え?それって、ない方が良くない?あってもうれしくないよ」という感情…というと分かりやすいでしょうか。提供する側は良かれと思っていても、ユーザーにはマイナスの評価をされる要素がこれにあたります。

参考例

●スマートフォン … スマホ本体に購入した日付と場所が打刻されている
●温泉旅館 … 女将が枕元で怪談話をしてくれる

 

「狩野モデル」を用いるアンケート調査の方法

狩野モデルを用いた調査の方法

2タイプの質問によってアンケートを実施

狩野モデルを用いるアンケート調査では、ユーザーに対して「充足質問」と「不充足質問」という2つの質問を行い、回答を5つの選択肢の中から選んでもらうという方法で行います。

充足質問

それが実現される(それが有ると)とどう思いますか?

●ECショップで、店員さんからのオンライン接客が受けられたらどう思いますか?
●ECショップに、商品写真の拡大表示機能があるとどう思いますか?

 

不充足質問

それが実現されない(それが無いと)とどう思いますか?

●ECショップで、店員さんからのオンライン接客が受けられなかったらどう思いますか?
●ECショップに、商品写真の拡大表示機能がないとどう思いますか?

 

回答の選択肢

●気に入る
●当たり前
何とも思わない
仕方ない
気に入らない

 

「狩野モデル」を用いた調査における分析方法

アンケートの回答データをもとに品質要素を分類

ユーザーひとりひとりに充足質問と不充足質問を行い、その回答を以下の表をもとに整理すると、そのユーザーが製品やサービスに対して認識している品質要素が判明します。これを複数名に行い、最も多い回答を得た品質要素は、そのグループ内での評価としてみることができます。

回答が多い品質要素がいくつもある場合は、ユーザーによって期待の対象や度合いなどが異なるということなので、セグメントと合わせて分析する必要があります。

狩野モデル_品質分類

 

「狩野モデル」の品質要素と満足度向上の考え方

狩野モデルを用いた調査における考え方

ユーザー満足度を効果的に向上させるカギは、重視すべき品質要素の見極め

狩野モデルを用いた調査では、製品・サービスの品質を5つの要素で考えますが、新たに市場に参入し、既存のライバルと競い合い、シェアを確保し続けられる製品・サービスを開発するには、「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」の3つの充足が必要です。

また、これらの品質要素の充足/不充足がユーザーの満足感にどう影響するかという関係性を分かっていなければ、製品・サービスの品質向上を的確に行うことはできません。

例えば、不良やクレームの解消にばかり注力し「当たり前品質」のみを追求しても、ライバルの製品・サービスと肩を並べるだけで優位になれません。

ライバルとの優位性ばかりに注力し「魅力的品質」のみを追求しても、基本機能や安全性能がなおざりでは、ユーザーの不信を買うばかりです。

「一元的品質」は、ライバルと優位性を競う上では重要ですが、同じ土俵にいる限り一歩抜きん出ることは難しく、新たな競争軸となり得る「魅力的品質」をいち早く見出し取り入れなければ、明確なアドバンテージにつながりません。

ユーザー満足度の向上を図る際に大事なのは、当たり前品質を犠牲にすることなく、いかにして一元的品質や魅力的品質を追求できるかということになるでしょう。

製品・サービスの開発にあたっては、狩野モデルにおける品質要素の特性をよく理解し、市場でのポジションを踏まえた上で、さらなる成長に必要なのはどの品質要素なのか、優先順位をつけて対処できるとベストです。また、ユーザーのニーズは時間とともに変化し、それに伴い品質要素の分類が変わることもあるため、ユーザーをよく理解することも忘れてはいけません。

 

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狩野モデルを用いたアンケート調査に興味のある方は、TAM広告/リサーチチームまでお問い合わせください。クリアにしたい課題を共有し、仮説をもとに設問設計、アンケート調査、データ分析にあたらせていただきます。