Z世代のスキンケア選びは「映え」より「リアル」
TAM自主アンケート調査から得られた意外な気づき ー 第1弾 ー
女性用だけでなく、最近では男性用も増えているスキンケア化粧品。中でもD2Cのブランドは、製造のアウトソース化が拡がってきたことや、ユーザーのコミュニケーションチャネルとなるスマホやSNSの利用が一般化したこともあってか拡大傾向にあり、TAMにデジタル戦略のご相談をいただく機会も多くなっています。
そこで今回、スキンケア化粧品やそのブランドについて、Z世代とそれ以外の世代の購買行動にどのような違いがをあるのかを探るべく、TAMリサーチチームで自主アンケートの設計と調査を行いました。
レポートは、リサーチチームメンバーの麦嶋が担当します。Z世代に近い私でも予測しなかった、意外な気づきが得られたアンケートでしたので、ぜひ目を通していただければと思います!
◆調査レポート第2弾はこちら!
スキンケア化粧品の「検討」も「購入」もオンラインではなくリアルを重視するZ世代
目次
▼私たちの仮説
当然、Z世代は違うはず。大事なのは世界観!?
▼調査結果・Z世代
仮説を裏切る結果。Z世代ってそうだったの!?
▼まとめ
EC施策ではどんなことに配慮すべきか。
私たちの仮説
当然、Z世代は違うはず。大事なのは世界観!?
今回、TAMリサーチチームで実施したこの自主調査は「化粧品のD2Cブランドが続々と誕生しているけれど、買っているのはどんな人なんだろう…?」という疑問からスタートしています。
TAMでも、案件のご相談をいただくことが増えているジャンルなのですが、分からないなら調べてみよう!ということで、マーケターにとって気になる存在であるZ世代を対象に、スキンケア化粧品の購買行動に関する仮説を立てて、調査設計しました。
価値観にしてもライフスタイルにしても、他の世代とは大きく異なると言われるZ世代ですから、スキンケア化粧品を買う際も当然「Z世代らしさ」が行動に影響すると私たちは考えました。その上で立てた仮説の一部は以下のような内容です。
●特別な世界観のあるスキンケア化粧品に魅力を感じるのではないか。
●サスティナブルを意識したスキンケア化粧品が受け入れられやすいのではないか。
●情報収集の手段はインターネットが中心ではないか。
●情報収集の際もSNSを活用しているのではないか。
●有名人やインフルエンサーのおすすめを重視するのではないか。
●購入チャネルは店頭よりECサイトが重視されているのではないか。
調査結果の要約『世代別スキンケア化粧品への意識と購買行動』
※TAMリサーチチームは、アンケートの調査設計、分析、考察を行っています。定量・定性リサーチともに承っておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。
調査結果・Z世代
仮説を裏切る結果。Z世代ってそうだったの!?
世代別のクロス集計で、Z世代の購買行動にどんな特徴が見られるか探りました。すると、調査前に立てた仮説がいくつも裏切られる結果が得られることに!これには私だけでなく、リサーチチームのメンバーも驚かされました。それぞれ、内容をご紹介します。
スキンケア化粧品を選ぶ際に重視することは、Z世代も他の世代も大きく変わらない
スキンケア化粧品を選ぶ際、Z世代はその製品やブランドの世界観が自分にフィットするかどうか、環境配慮などの課題を意識しているかどうか、といった点を重視するだろう…というのが私たちの仮説でした。
ところが、Z世代が重視することに挙げたのは、男女とも上位から「効果が期待できる」、「価格が安い」、「使い心地が良い」の項目。実は、これら3つの項目は、どの世代でも共通する上位項目。Z世代だからと言って、重視することが特別異なる訳ではなかったのです!Z世代らしいこだわりが強く表れるのでは…と思っていただけに、どの世代も大きな違いがないという結果は、とても意外でした。
スキンケア化粧品は、直接肌につけるものであり、日常的に継続して使うもの。そのため、自身の肌悩みや肌質に合うものを使いたい…という心理は、Z世代にも強く働くのでしょう。
なお、「デザインが好みである」「環境に害が少ない」「ブランドの理念に共感」といった項目は、他の世代に比べるとZ世代の方が部分的に多い傾向が見られるものの、重視する項目として選んだ人は5%にも満たず、他の世代の結果と同様に低い割合でした。
SNSなどで情報発信する際の「映え」や「自分らしさ」、姿勢や行動が「ソーシャルグッド」といったZ世代らしい理由よりも、スキンケア化粧品ならではの理由の方が強く表れる結果となったことは、興味深い内容でした。
スキンケア化粧品を選ぶ際、店頭やクチコミの情報を参考にするZ世代が大多数
Z世代と言えば、生粋のデジタルネイティブ世代。当然、参考にする情報もインターネット経由が主流だろう…という仮説を立てていました。ですが結果を見てみると、「店頭(実物を見て)」「家族や友人のクチコミ」が大多数!Z世代は、情報源をネットの世界だけに頼っておらず、意外にも身近でリアルな世界の情報を積極的に利用しているようなのです。
さらに、インターネットの情報の中でも、ひときわ高い割合で参考にされていると予測していたSNSが思った以上に低く、女性はブランドサイトやまとめサイトと同等の割合。男性にいたっては、SNSを参考にする人が少数派という結果でした。
Z世代はどの世代よりもSNSを活用している…というイメージを持っていただけに、この結果に対する驚きは非常に大きなものでした。
まとめ
EC施策ではどんなことに配慮すべきか。
今回の自主アンケート調査から、Z世代の意外な一面を知ることができました。この結果は、スキンケア化粧品のECでZ世代にアプローチする際にも参考になりそうです。施策を考える上で配慮すべき内容をまとめてみます。
効果・使用感・価格の情報提示は必須
Z世代に選ばれる製品となり得るためには、対象が「Z世代」であることの前に、使用目的が「スキンケア」であることを忘れてはならない。中でも、「効果」「使用感」「価格」はコアなユーザーニーズであるため、それらの情報提示はEC施策でもおろそかにできない。
なお、「効果」「使用感」「価格」が重視される背景には、Z世代の大多数がまだ収入を得ていないことが影響しているように推測される。自由に使える金額に限りがあるため、金額と同等もしくはそれ以上の実感が得られる「コストパフォーマンス」志向となるのであろう。コスパの良さを訴求することは、Z世代へのアピールとなり得る可能性がある。
オンラインだけでなくリアルの打ち手も検討
Z世代はスキンケア製品を選ぶ際の情報源をネットの世界だけに頼ってはいないので、リアルな世界でのコミュニケーションも試行してみたい。商業施設や駅などのポップアップストア、イベントへの出店などをマーケティング施策の一部として取り入れても良いだろう。
SNSはプロダクトによって使い分け
情報源としてSNSを使う割合には大きく男女差があるため、男性用or女性用の化粧品によって情報発信の手段を考慮する必要がある。
以上が、TAMリサーチチームが実施した自主アンケート調査のレポート第1弾です。ここにまとめきれなかった内容を、レポート第2弾でご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
◆調査レポート第2弾はこちら!
スキンケア化粧品の「検討」も「購入」もオンラインではなくリアルを重視するZ世代
▼アンケート調査概要
調査目的 | コミュニケーション方法や価値観、考え方などがそれまでの世代とは異なると言われるZ世代。スキンケア化粧品の購買においても、他の世代と異なる行動になるのではないか、という仮説を検証するため、アンケート調査を実施。 |
調査期間 | 2020年12月18日~2020年12月19日 |
調査方法 | オンラインアンケート |
調査対象 | 15~59歳の男性、女性 |
回答者数 | 1,054人(男性:534人、女性:520人) |
回答者属性 | 24歳以下(Z世代)男性:105人、女性:93人 25~39歳(ミレニアル世代)男性:160人、女性:162人 40歳以上 男性:269人、女性:265人 |